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  • 執筆者の写真白玉

初期没ネタ(活動報告より)

こっそり没ネタ供養

七合目モブ【殿下のデートの下見。宝飾店横の花屋。】



宝飾店の立派な入口を見上げながら馬車に戻るべく歩き出した。


ふとギルバートくんの足が止まる。

隣に目を向けると、彼は花屋の店先をじっと見ていた。


視線の先は前列の一番端に置いてある大きな花瓶。

小さな花びらが幾枚も重なったカラフルな花がこんもりとディスプレイされている。


「ガーベラですね。変わった色があるので目につきました…。」


そう言ってギルバートくんが見つめた先には、

鮮やかな黄色に縁取られた青い花。

中心も黄色と青の二重になっている。


「へぇ詳しいな。花が好きなのかい?」


そう聞くとギルバートくんはフッと笑って首を振った。


「いえ特に。ただ…」


笑みの名残を口元に残したまま彼が顔を上げた。


「あの花は気に入りました。」


そう言って繋いでいた俺の手を引いて歩き出す。


なんだ。気に入ったなら買ったのに。

馬車に向かいながらそう言えば首を振られた。

まあ確かに次に行く場所もあるし、男が花もらって嬉しいか、って感じだもんな。


単にああいう色味が好きなだけかもしれない。



戻った馬車に乗り込む彼の手を離した時、

ふいに彼が片手を伸ばして俺の髪に手ぐしを通した。

そして僅かに口元を綻ばせる。


髪が乱れていたようだ。

ありがとうね、を込めて彼に笑みを返して俺も馬車に乗り込んだ。




※文章長くなりすぎるのと、テンポが狂う気がして没。

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