【従僕頭エド】アルフレッドお誕生日記念~はじめてのゆうかい~
で、くどい上に長いわっ!とカットした部分です(^_^;)
本文とかぶってる部分もありますがエドの事情を先に持ってくると鬱陶しい!となったので没にして順番を組み替え→簡略化
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『よく聞いてエド………』
今でも時々、あの時の若様の声が蘇る。
あの頃の俺はどうしようもなくイライラとして、腐ってばかりの毎日を過ごしていた。
王都の王立学院を中途退学して2年…毎日毎日小さな畑を耕し、午後は山で猟と採集…。
何で俺がと、ムカムカとした思いをどこにもぶつけることができず鬱憤を溜め込み続けていた。
自分の落ち度で退学したのならまだ我慢できた。
でもそうじゃない。代官が替わった…たったそれだけの理由。
頭の良さには自信があった。
猟師の親父が村役人を兼任していたおかげで、小さな頃から読み書きを始め、何だってスルスル覚えてみせた。
さほど背は伸びなかったが、山を駆け回りながら鍛えた自分の運動能力にも自信満々だった。
だから、前の代官様から王立学院高等部の受験を勧められたときは嬉しかったし当然だとも思った。
『近隣すべての村々のために、よくよく学んで知恵を持って帰ってきておくれ』
もちろん合格した俺に、高齢の代官様は旅費も必要な学費もポケットマネーから出してくれるとお約束をして下さった。
近隣の村でたったひとり、俺だけが代官様のお目に留まって、王族も通われる王立学院に進学して高等教育を受けることが許された……それだけで俺の自尊心は満たされ、やる気が漲った。
学院を卒業すれば、こんな片田舎の山村出身者でもでっかい箔が付つき格がいくつも上がる。
いずれはこの男爵領の代官…いやもっと上の子爵様のご領地のお役目だって賜れるかもしれない。俺は猟師の小倅に収まっているような器じゃない。
張り切って進学した王都の王立学院。
そこで俺は幾度も『井の中の蛙』の言葉を噛みしめ、悔しさに歯ぎしりをし、狭い寮部屋では2人の同室者のイビキに耳を塞ぎながら夜遅くまで必死で勉強を続けた。
そのおかげで1年と2年の評価はほぼAばかり。
規格外に優秀な一部の人間は置いておいて、基礎不足の平民出身としてはかなりのもんだと俺が鼻を高くしていた3年の春。
突然、帰郷が命じられた。
学費も打ち切り。
前の代官様が病で亡くなり、新しく就任なさった代官様がそうお決めになったのだと、帰郷した村で父親から聞かされたときは絶望した。
俺の帰郷の金すら、皆でかき集めてやっとの状況…
格安とはいえ王立学院だってタダじゃない。
1年分の学費と往復の旅費なんて、村人みんなで逆立ちしたって出せやしないことはよく分かっていた。
学院を退学し、俺はまたただの村人で猟師の倅に戻った。
新しい代官になってから地代は上がり、何かにつけ細かな税金が徴収されるようになった。
食うには困らないが余裕もない…そんなそれまでの生活はどんどん苦しくなっていった。
そんな時だ。
いつものように、つまんねぇ狩りと採集をダラダラと終えた俺が、獲物を抱え山を下っていると突然、わずかばかり上の山道で大きな馬の嘶きと数人の怒鳴り声が聞こえてきた。
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